今の仕事は摘果と言って花や、実、形の悪い物を間引きする作業をしています。
早いやつが無事に苺が色付きはじめました。
なぜ量と甘さは両立できないのか?
「なぜ貴方の所は大きいのに甘いの?普通は大きいと大味なのに?」
とよく聞かれますが、
「それ以外の作り方をしたことがないのでわかりません」
ただ、しっかりした土作り、日本一の水質が水源、管理や手グセが合ってるのかもしれません。
本当に甘くて美味しい果物を作る人は生産量が減ります。
沢山作る人はその分甘みが落ちます。
よって当園、他の生産者より収穫量は少ないです。
光合成でできたエネルギーを分散させてしまうからです。
体を作るのも糖分を作るのも作物は光合成を通じてできます。
生産者はそれのお手伝いをどれだけ上手にできたかで、エネルギーを作れるのかが決まります。
品種特性
また品種はそれをどのくらい蓄える事ができて、どのような味と香りにできるのか?が決まります。
例えば
さちのかは一日にエネルギー100%作れたら
紅ほっぺは120%作れます。
それを大きさ、香り、甘さに分配するのは品種が得意とする方に分かれるので生産者がコントロールできない部分でもあります。
これが品種特性です。
以前書いたブログに写真がありますので詳しくはこちらへ。
エネルギーの分配
生産者はこのエネルギーを水、肥料、温度管理で自然界では40%しかできない所を80%にできるのか
をお手伝いします。
自分の過去の話ですが下手な作りをしていたら、量と美味しさ甘さは両方伸びます。上手に作るほど、どちらを優先していくのかが変わります。
例えば下手な作りをした場合
本来100%作れるエネルギーを30%しか作れなかったら
株、実に半分ずつとられると
株が最低限必要なエネルギーが20%とするとエネルギー不足で実にエネルギーを送れない。でも実に送らないといけないから、株が弱る。また実が細る。
これを繰り返します。
これで美味しい味を目指すと、一瞬最高の味を出しますが、株が弱り過ぎて後にできる苺は軒並み美味しくなかった記憶があります。
これを60%にできたら株も弱らず実にも栄養を送れるので、それなりに上手にいきます。
一方、上手になると、量と甘さの両立が難しくなります。
エネルギーを上手に作れて90%とすると
概ね株に必要なエネルギーが決まって30%だとすると
後は実の数をどの様にするのかを見定めるのも生産者の腕によります。
例えば残りエネルギーを60%
苺を12粒残すとエネルギーの振分けは一粒あたり5%
6粒だと10%
これから実は肥大と甘さ、香りに振り分けます。
数式で書くと
苺の大きさ+美味しさ+香り={(苺が株に付いてた時間×水·肥料·温度管理)-苺の株の消費}÷苺の数(重量)
といった感じです。
苺の株に使われるので苺の数が半分になったから二倍美味しくなるというものではないですが、二割くらい美味しくなるし、じっくり育てるのも美味しくなります。
当園は美味しさの先にあるお客様の幸せな生活に苺がある食卓を目指す
ということで量はとれません。かといって、大粒の為に凄く数を減らしている訳でもありません。
苺が美味しくなるギリギリ頑張れるラインを見定めてます。
だから普通のいちごもそれなりに美味しいです。
私は毎日の食べ物に幸せが入っていたら楽しいは倍増。悲しいは軽減できる。
と思って苺栽培しています。だから量より質です。
味より量を優先した方が生産性が高いです。
国もそれを求めてます。
ただ、それはお客様の満足としては
安いだけで美味しいという喜びという付加価値にはなりません。
消費者は美味しい物が食べたいなら、
味覚にあう農家を探して応援してやって下さい!
お店に
「○○さんのを置いといて」
と頼むと美味しいものに巡り合うチャンスが増えます。
生産性が高い≠価値がある
とはならないので、希少価値にリスペクトしてもらいたいですね。
安い物には理由があり、その為に消費者は美味しい物に出会う事。幸せが減ります。
だから消費が減ります。
お菓子の方が安くて甘いからです。
わざわざ高い果物を買わなくなります。
果物はお菓子にはない酵素やミネラルが含まれているし、保存料的な添加物はないので
本来は体調管理を含めた生命維持という価値をお届けしています。
これに「食べる事が楽しみ」という付加価値をつける努力をして
何より食べてくれる方の幸せを追求していきたいです。
いちごも色付きはじめました。
お楽しみに!