台風前後やフィルム張る前、夏等は病気の菌が活発になったり、感染しやすくなるので、当園では苺の株の一生という中では消毒回数が夏から秋にかけて最も多くなります。
残念ながら、ご近所でも苗の全滅や何割も枯れてしまうなど悲惨な年でした。
当園も就農した時に三年間、技術や知識の無さで苗の病気で全滅しました経緯があります。
今回は意外と知られていない農薬について、情報提供させていただきます。
どれが正解というものではなく、
考え方はそれぞれあると思うので判断の一つとして捉えてくだされば幸いです。
農薬
普通、農薬は消費者にとってもあまり好ましい物でないイメージがあります。
だからこそ情報提供として書いておく必要があると思いました。
食品衛生を学んだ私としては「農薬が悪い」とも「無農薬が安全」であるとも言いにくいというのが本音です。
食中毒
無農薬の怖い所は食中毒です。
密閉された衛生管理の行き届いた工場ですら食中毒がおこります。
だから原則持ち込みと考えるのが自然です。
原料である農産物は自然むき出しです。
良い菌も悪い菌も残念ながら肉眼では確認できないし、出荷するもの全てに電子顕微鏡を使うことも叶いません。
特に苺は直接食べる上に免疫の弱い子供やお年寄りも食べるので気を使います。
農薬自体は食中毒に効果あるようにできていませんが、似たような菌種ならば何らかの作用をしていると仮定して使っています。
殺菌の効果
殺菌については勉強した所によると、厚生労働省により
除菌<殺菌<滅菌 この順で菌数を抑えます。 これのうち農薬は、殺菌に所属します。
殺虫
虫に関しては環境条件で大きく変わります。
生息できる期間や地域によってはそもそも虫がいないとかもあるので一概にこの農薬が選ばれるというのはありません。
農薬の安全性
農薬にも種類があります。
普通農薬<劇物農薬<毒物農薬 で安全性について農水省より分類されております。
当園の農薬の使用判断
当園では全体に花が咲く頃からは消毒の使い方が細かくなっていきます。
食べる時に不要な消毒を減らしたいので最も影響が無いときに予防に努めます。
殺虫については実になり始めたら、基本は普通農薬をメインとして毒物は使わず、極力劇物を使わない様にしています。
また、天敵(害虫を食べる益虫)を使って農薬を減らしています。
(ちなみに天敵も生物農薬という特殊農薬に分類されます。)
よって天敵を殺さない様に不要な殺虫回数も減ります。
しかし、その為に天敵が苺に混入してる場合がどうしてもあります。
これを虫の混入と言われると農薬の方がいいですか?という議論を繰り返さないといけません。
ここのバランスはお客様と相談できると嬉しいのですね。
グローバルGAP(国際的な農産物の生産管理をしている所に出される承認機関)でも天敵を推奨してますが、虫の混入に繋がる事のバランスについては議論されていないそうです。
ちなみにアメリカだと数%混入は法律でオッケーだそうです。
特に気合を入れている殺菌に関しても有機適合農薬や、食品添加物にも使われる自然界において安定しない分解の早いが殺菌効果の高い特殊農薬を使うようにしています。その合間に普通農薬を利用して、衛生面では直接食べるものなので特に気を使っています。
全体に言える事ですが収穫は場所を変えて3日に分けています。
収穫した所に農薬をかけるので3日は農薬がかかった所を収穫しません。
少しでも分解されたものをお届けしていきます。
農薬浴びてる農家。従事者年齢平均65歳以上
寿命を減らし、体を壊すとされている農薬を浴びてる私の周りの元気なお年寄りは至って元気です。
全国平均年齢が答えだと思います。
農家も日々の仕事があるので自分の食べる所だけは農薬をかけない。なんて事はしません。
私も普通にかけたのを食べます。
当時の農薬は効く効かないの話で、今ほど科学も発達してなかったので、人体に影響あるものが出回ってた時代もあるそうですが、現在では、発がん等の知識、意識、メカニズムもわかってきたので製造段階で作らないし、過去の危ない農薬は全て製造中止ですので、現在の農薬は比較的安全であると思います。
安心安全の視点
農薬は紫外線によって無害化してる部分もありますし、最近の農薬は直ぐに無害化させるように作られているので昔より安全性が上がっています。
(医薬等もそうですが室内の冷暗所に保存して下さいと書いてあります。農業は屋外、日光、温度ともに高いレベルで条件から外れています。)
また有機が安全であるならば、人間として進化してきた過程で有機を食べ続けた人類が臓器の中でも大きい部類に入る解毒機能を持つ臓器を複数持つ理由はなぜでしょうか?
生物学にも疑問を持たないといけません。
農薬の安全は農水省により保証されていますが、実はこれから証明されていくのかもしれません。
どうしても有機と比べたら歴史も浅いですが、科学は確実に進歩して確実にわかる事も増えてきました。
農水省が薬剤メーカーと数億円かけて開発と認可をしています。
逆に摂取し続けた場合、解毒機能を持つ臓器は衰退するかもしれません。
正しく調理する
有機野菜は安全だから土ごと食べられる。
というのは間違いです。絶対にやめて下さい。
土中には大腸菌をはじめ多様な菌がいます。
食中毒というのは農薬より確実に怖い所は感染で数時間で命を奪う力があります。
国際的には必ず加熱して菌を殺すのが普通です。
世界中で生野菜が食べられる、生野菜を食べる国は極僅かです。
生野菜を食べていない所は食中毒に対する処置が生活の中で当たり前に身についています。
生野菜を提供できている日本の農業は技術と衛生面の高さ、環境の良さによるもので一部農薬の力もあります。
どうしても自己責任になりますが、有機はよく洗い極力火を通しましょう。
生野菜が食べたいのならば極力農薬を使用したものをかけ流しの流水でよく洗いましょう(ボール等に貯めて洗うのもダメ)。もしくは植物工場で作られた物にして下さい。
正しい知識を持って食と大切な方の安全を自分で守りましょう。
最後に
例えば不衛生な所で出された食べ物は嫌ですよね?
私は原料も同じではないかと思っています。
だからこそ本当に安心して食べてもらえるように、自分が食べても、免疫の弱い方が食べても不安がない様にしています。
また農家を始めた時から農薬と言わずに消毒した?
と周りの農家と違和感なく話しています。
「農薬は毒」というより殺菌するから「毒を消す」
という意味の方が強いと思います。
農薬は、作物にダメージを与える場合がありますと書かれているものもあります。多少なりともダメージはあるはずです。
だけど農薬使った葉っぱこんなに活き活きしており、
逆に病気の葉っぱは弱っています。
私は長期的に健康な苺に育って貰いたいし、せっかく選んで戴いたのに食中毒を起こして食べる幸せを奪いたくはありません。
自然だから素晴らしい訳ではありません。
我々人間も病気になれば病院に行き、薬を処方してもらい、それを飲みます。
自然治癒より早く治したほうが健康的です。
それを苺に適応しています。
お客様に美味しく幸せを感じる甘い苺を提供するには
苺自体が元気であってくれるのが一番です。
ちなみに人間の薬も農薬も製造販売しているのは実は同じ製薬会社なんです。
当園においては農薬については法令遵守しております。また有機農法も取り入れておりますので、安心安全に根拠をもって美味しい苺をお届けしていきたいと思います。
また後日、有機農法、オーガニックの良さについて書いてみたいと思います。
追記
有機農法と比べてみました。
詳しくはこちら。